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序章 第十九話「失意の中 前編」

Auteur: 鈴谷凌
last update Date de publication: 2026-04-22 18:09:23

 家から出て、とりあえずはこの街を出ようと考えていたエルキュールだったが、街が存外静かなことに気づきその足を止めた。

 先ほどまでは辺りに魔獣が闊歩し炎に包まれていたというのに、今となっては魔獣の姿は忽然と消え、燃え盛っていた炎の勢いも弱まっていた。

 それでも、ここまで倒壊した家屋が多いと復旧に時間はかかるだろう。すぐに以前のような生活に戻ることは見込めない。

「……変に冷静な自分が嫌になるな」

 どこか他人事のように荒れ果てた街を分析していたエルキュールだったが、不意にその眉を歪めた。

 彼も当事者であることに変わりはないはずなのだが、その態度は不思議なほど落ち着いたものであった。

 そんな光景に慣れてしまうくらい、長い時が流れたというのもあるだろう。

 しかし、そんな量的な問題では到底片付けられないものが、エルキュールの心に重く沈んでいた。

 アマルティアとの邂逅、それに伴う自己認識の変容。

 世界と自分との間の壁が一際厚くな

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  • 黒き魔人のサルバシオン   一章 第十四話「新たな同士」

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  • 黒き魔人のサルバシオン   序章 第七話「初めての共闘」

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  • 黒き魔人のサルバシオン   序章 第六話「それぞれの理由」 

    「よう相棒、二時間ぶりくらいか?」 隣町のニースまで買い物に行くという家族と別れた後、待ち合わせ場所のヌール広場に到着したエルキュールに、声がかけられた。 広場の長椅子の背もたれに寄りかかっていた身体を起こし、グレンはエルキュールに歩み寄る。「相棒……? 俺と君はそこまで親密な仲だったか?」 出会って間もないはずだが過剰に親しげに声をかけたグレンに、エルキュールは余所行きの固い態度で返す。「とはいってもなあ……こっちはまだお前の名前を知らねえんだ。オレがせっかく名乗ってやったのに……つれない奴だ」「……エルキュールだ。確かに名乗らなかったのはこちらが悪かった、謝ろう。ところで魔獣

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